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貴婦人会片瀬支部
by fusprout
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犬歴
犬歴_c0145717_16798.jpg

我が家の犬の歴史は長く、昔から正体不明な犬ばかり。

戦後、物の無い時代、母上のお家の近所のお魚屋さんが
ある日突然姿を消し、大きな黒い犬だけが残された。
誰も戻ってくる様子はなく、動物好きの子供だった母上が食べ物をあげに
行っていたところ、近所の通報か、ある日保健所が犬を連れて行ってしまった。

どうすることも出来ず悲しむ母上を見て、普段犬は嫌いだと言う祖母が
「うちで引き取ります」と、遠い保健所まで行き
大嫌いな犬をチラチラ横目で見ながら連れて帰って来たのだそう。

長唄と小唄の師匠だった祖母はとても厳しい人で、私が小さい頃は
「およしなさい!犬は嫌いですよ!」と、喜んで飛びつく犬に
いつも眉間にシワを寄せ話しかけていた記憶がある。

犬が大嫌いな祖母は、自分達が食べることで精一杯だった時代に
他人の捨て犬のために、自ら遠くまで引き取りに行った。
そのワンはクロちゃんと名付けられ、その当時珍しい大型犬で
会う人会う人に犬種を聞かれたそう。
今思えば、もしかしたら、黒ラブだったのかもしれない。

クロちゃんの後、母上の実家に来た犬は、コリャくん。
名前の由来は、いつも怒られていたから。
こちらも出生不明、犬種不明。
父上と結婚した母上は、新居への引越しの際、犬嫌いの父上には
何も言わず、勝手に犬を連れてお嫁入りしたのだそう。
「私は"持参金"ではなく、"持参犬"付きだったのよ」と
母上はそのことをいつも得意げにお話しになる。

その後誕生した兄上がまだ幼い頃、コリャくんが亡くなり
悲しみに泣き暮れる、幼い兄上を不憫に思った犬嫌いの父上は
知人から子犬をもらう手配をした。


続く
by gri-and-sprout | 2008-07-03 04:13 | Talk
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